ABMの成功事例4選|成果を上げた企業の取り組み・よくある失敗例まで解説

「ABMの導入を検討しているが、具体的な事例や数値が見つからない」
「ABMを導入して、本当に自社でも成果を出せるのか知りたい」
こうしたお悩みを抱えていませんか?
限られた営業リソースのなかで成果を高めるため、成約につながる可能性の高い企業へ効率的にアプローチしたいと考える企業は少なくありません。ABM(アカウントベースドマーケティング)は、ターゲット企業を絞り込み、データをもとに組織的なアプローチを行うマーケティング手法です。
本記事では、ABMの成功事例を4つ紹介します。記事の後半ではABMを成功させるポイントや始め方、よくある失敗例まで解説します。ABMの導入を検討している方や、自社で成果を出すための具体的な方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
✓この記事でわかる内容
この記事の監修者

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株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。
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「ABMを始めたいが、具体的に何から取り組めばよいかわからない」という方には、ABM入門ガイドをお読みください。
ABMの基本から具体的な取り組みステップ、導入に向けて今日からできる施策までわかりやすく解説しています。ABMを自社の営業活動に取り入れたい方は、ぜひご活用ください。
ABMの成功事例4選

ABM(アカウントベースドマーケティング)を導入し、実際に成果を上げている企業の事例を4つ紹介します。
✓ABMの成功事例4選
ABMについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
>>【BtoB向け】ABMとは?マーケティング手法の内容やメリットを簡単に解説
事例①|株式会社ユーザベース
株式会社ユーザベースでは、インサイドセールスの目標がアポイント獲得量に偏る傾向にありました。失注案件のフォローが不十分であり、商談の質向上と業務効率化が求められる状況です。
そこで「Adobe Marketo Engage」を導入し、自社サービスの「FORCAS」と連携させました。顧客の企業情報や業界属性を自動で付与し、ターゲットアカウントを明確に定義します。
スコアリング機能も活用し、セールス部門が追うべき案件の基準をルール化しました。
その結果、マーケティング部門とセールス部門の連携が強固なものへと変化しています。確度の高い商談のみに注力できる環境が整い、商談数を維持したまま受注率が前年比約5倍に増加する成果を上げました。
参照:Adobe for business「ABMで目指す重点顧客のLTV最大化。「マーケティングとセールスの連携」がキモ」
事例②|日本電気株式会社(NEC)
テクノロジーやサービスの進化、異業種からの新規参入などにより、企業を取り巻く事業環境が変化するなか、NECは顧客体験(CX)を重視した取り組みを進めています。
NECでは、自社のマーケティング活動にABMを取り入れ、Oracle Marketing Cloudを活用しました。ターゲットとなる企業・団体を明確にしたうえで、アカウントの観点から戦略的なマーケティング活動を展開しています。
こうしたABMの取り組みにより、NECは商談化率を15%向上させました。さらに、その成果が評価され、日本企業として初めて海外ベンダーのアワードでファイナリストに選出されています。
参照:NEC「NEC Customer Experience Solutions」を確立
事例③|株式会社日立製作所
日立製作所では、顧客の購買行動の変化に伴い、従来の営業スタイルからの転換が課題となっていました。そこで2018年にデジタルマーケティングチームを発足し、データを活用した営業・マーケティング体制の構築を進めます。
2023年頃からは、ソリューション単位ではなく、ターゲット企業を軸にアプローチするABMを本格化しました。営業・マーケティング・インサイドセールスが「One Team」となり、営業戦略を共有したうえで、ターゲット企業の未開拓部門やキーパーソンへのアプローチを実施しています。
また、マーケティング活動の結果をSFAやBIツールで可視化し、各部門が同じデータをリアルタイムで確認できる環境も整備しました。その結果、受注貢献は前年比127%を達成し、案件プロセスの遷移率も前年比5ポイント改善しています。
事例④|NTTドコモビジネス株式会社
NTTドコモビジネスは、ABMの発展型である「ABX(アカウントベースドエクスペリエンス)」を重視し、全社を一丸とした体制でこれに取り組んでいます。同社は、情報システムや人事など幅広い部門を巻き込み、独自の事業共創の場「OPEN HUB Park」を活用して顧客との対話を推進しています。
さらに、専門性を持つ1,000名以上の人材(Catalyst)が案件ごとにチームを組み、部門を越えて顧客の課題に向き合う体制です。こうした取り組みを通じて、顧客体験(CX)の最大化と強固な顧客基盤の構築を目指しています。
参照:OPEN HUB「日本企業が持つABM成功の条件とは?」
アカウントベースドエクスペリエンスについては、以下の記事でも詳しく解説しているので合わせてご参照ください。
>>アカウントベースドエクスペリエンスとは?ABMとの違いや導入手順を解説
事例から見えるABM成功のポイント

ABMを導入して劇的な成果を上げる企業には、いくつかの共通する特徴があります。ここでは、先ほど紹介した成功事例から見える、ABMを成功に導くための3つの重要なポイントを解説します。
✓事例から見えるABM成功のポイント
ポイント①|ターゲットアカウントの定義が具体的である
ABMでは、自社が優先的にアプローチするターゲット企業を明確にすることが大切です。対象を絞らず幅広い企業へアプローチすると、営業やマーケティングのリソースが分散しやすくなるためです。
ユーザベースでは、FORCASを活用して企業情報や業界属性などのデータを整理し、ターゲットアカウントを明確にしました。さらに、スコアリングによって営業が優先的に追う案件の基準を設定し、確度の高い商談へ注力できる体制を整えています。
ABMを導入する際は、優先度の高い企業の条件を整理し、営業・マーケティングが共通認識を持てる状態にすることがポイントです。
ポイント②|営業とマーケティングの役割分担が明確である
ABMでは、営業やマーケティングなどの関係部門が連携し、同じターゲットにアプローチする体制づくりが欠かせません。部門ごとに異なる方針で動いていると、顧客へのアプローチにズレが生じやすくなるためです。
日立製作所では、営業・マーケティング・インサイドセールスが「One Team」となり、営業戦略を共有したうえでABMを推進しています。ターゲット企業の未開拓部門やキーパーソンに対して、それぞれの部門が役割を担いながらアプローチする体制を構築しました。
ABMを成功させるには、部門ごとに施策を進めるのではなく、ターゲット企業や営業戦略を共有しながら組織全体で取り組みましょう。
ポイント③|施策の成果を可視化し、継続的に改善している
ABMでは、施策を実施して終わりにせず、成果を可視化して継続的に改善することが大切です。ターゲット企業の反応や商談の進捗を分析することで、成果につながっている施策と改善すべき施策を判断しやすくなります。
日立製作所では、マーケティング活動の結果をSFAやBIツールで可視化し、関係者がリアルタイムで確認できる環境を整備しています。その結果、受注貢献は前年比127%です。
このように、ABMを継続的な成果につなげるには、データを蓄積・分析しながら、ターゲットの選定やアプローチ方法を改善していきましょう。
自社でABMを始めるための4ステップ

自社でABMを導入し、実際に運用するための具体的な手順を4つのステップで解説します。各段階で取り組むべきことを、順番に確認していきましょう。
✓自社でABMを始めるための4ステップ
ステップ①|ターゲットアカウントの定義
まずは、自社が最優先で注力すべきターゲットアカウントを明確に定義することから始まります。アプローチする企業が初期段階でブレてしまうと、その後のマーケティング施策や営業メッセージが適切に機能しなくなるからです。
社内にある既存顧客のデータを深く分析し、受注率やLTVが高い業種、あるいは企業規模などの傾向を洗い出してみてください。外部の企業データベースツールを掛け合わせると、未開拓企業の候補を絞り込みやすくなります。
なお、対象とする社数はリソースに合わせて、現実的な規模に設定するのがポイントです。自社の強みが最も活きる理想の顧客を定義しましょう。
ステップ②|営業・マーケティングの役割設計
ターゲットが決まったら、次は営業部門とマーケティング部門の役割分担を詳細に設計します。ABMは複数の部署が連携して取り組む総力戦であり、社内の認識のズレが顧客の機会損失に直結します。
具体的には、部署ごとのKPIを「全体のリード数」から「ターゲット企業の商談数」などへ再定義してみてください。また、対応の遅れやフォロー漏れを防ぐため、獲得したリードを次の担当者へ渡すタイミングや条件を明確にすることも重要です。
さらに、SFA(営業支援システム)やビジネスチャットなどを活用し、顧客の最新情報がどこにも滞留しない連携体制を構築しましょう。
ステップ③|パーソナライズ施策の設計
社内の連携体制が整った後は、ターゲット企業ごとに最適化されたパーソナライズ施策を設計します。具体的にやるべきことを以下にまとめましたのでチェックしてみてください。
| やるべきこと | 内容 |
| キーパーソンの特定 | 決裁者・現場担当者など、施策を届ける相手を明確にする |
| 業界動向の分析 | 対象企業の業界動向を深く分析し、彼らが最も知りたい専用コンテンツを用意する |
| 複数接点の組み合わせ | パーソナライズされたメールや招待制の限定イベントなど、単一手法に頼らず複数チャネルを組み合わせる |
| 段階設計 | 「最初の接触」→「課題の深いヒアリング」→「商談」へと進むステップを丁寧に設計する |
| シナリオ設計 | 「まさに自社のための提案だ」と感じさせる緻密なシナリオを描く |
ターゲット企業の課題や関心に合わせて施策を設計し、自社に合った提案だと感じてもらえるアプローチにつなげましょう。
ステップ④|KPI設計と改善サイクルの構築
最後のステップでは、施策の効果を測定するためのKPI設計と、継続的な改善サイクルを構築します。全体の漠然とした数字を見るのではなく、アカウント単位で進捗を正確に追跡できる具体的な指標を設定してください。
例えば、ターゲット企業からの「商談化率」や「受注率」、「決裁者との接触数」など、フェーズに合わせて複数の指標を使い分けるのがポイントです。そのうえで、営業とマーケティングが合同で参加する定例レビューの場を設け、データをもとに施策の振り返りと改善をしましょう。
ABM導入・運用でよくある失敗例

ここでは、ABMの導入や運用フェーズでよく見られる3つの失敗例と対策を解説します。
✓ABM導入・運用でよくある失敗例
失敗例①|ターゲットが曖昧なまま始めてしまう
ABMを導入する際、ターゲット企業が曖昧な状態のまま見切り発車してしまうのは典型的な失敗パターンです。対象が広すぎると限られた社内のリソースが分散してしまい、個別最適化されたアプローチができなくなるためです。
例えば、「知名度があるから」「大企業だから」といった曖昧な基準でリストを作成するケースがよく見られます。また、ターゲット企業が明確に定義されていないにもかかわらず、MAツールなどのシステム導入だけが先行してしまうことも危険です。
このような状態では、誰に向けてどのようなメッセージを発信すべきかが定まらず、導入したツールの機能も十分に活用できません。この失敗を防ぐためには、施策やツールの検討前に、自社が狙うべき企業群を深く議論し、明確に決め切りましょう。
失敗例②|営業とマーケの連携が形骸化する
営業部門とマーケティング部門の連携が形骸化し、組織が分断されたまま運用を進めることも大きな失敗の要因のひとつです。
実際の現場では、マーケティング部門が獲得した有望なリードに対して、営業部門が十分にフォローできないケースもあります。背景には、部門ごとに異なるKPIを設定していることや、役割分担が明確になっていないことなどが挙げられます。
両者の動きが見えない状態では、顧客への対応に一貫性がなくなり、商談のチャンスを逃してしまうでしょう。
この事態を防ぐには、両部門が常に同じ顧客データを参照し、共に動けるようなリアルタイム連携の仕組み化が必須です。ツールを活用して顧客の最新状況を共有し、両者が協力して案件を進める体制を整えてください。
失敗例③|短期で成果を求めすぎて頓挫する
短期的な成果を求めすぎると、ABMの取り組みは途中で頓挫してしまいます。ABMは特定の重要顧客と深い関係性を築き上げる手法であり、具体的な成果が表れるまでに中長期的な時間を要するためです。
よくあるのが、経営層が「ABMは中長期の投資である」という認識を持たず、数ヶ月で結果が出ないと判断して施策を打ち切ってしまうケースです。このケースは、最終的な結果が出るまでの期間や評価基準について、社内で事前の合意形成ができていないことが原因で起こります。
施策を継続させるためには、最終的な受注だけでなく、ターゲット企業との「接点化率」など小さな進捗指標を都度可視化することが大切です。プロセスごとの成果を定期的に共有し、社内の理解を得ながら進めましょう。
まとめ|成功事例を参考にABMを実践しよう

本記事では、ABMの成功事例をもとに、成果を上げるためのポイントや自社で始めるための4ステップ、注意すべき失敗例を解説しました。ABMの成功には、ターゲット企業を具体的に絞り込み、マーケティング部門と営業部門が共通のKPIを設定し、連携することが不可欠です。
システムとデータを活用し、個人の力量に頼らない営業体制を構築できれば、成果の向上が期待できます。まずは既存顧客のデータを分析し、自社が優先的にアプローチすべき企業を整理してみましょう。
さらに詳しい導入手順や実践的なノウハウを知りたい方は、「ABM入門ガイド」をダウンロードしてご活用ください。
この記事の監修者

-
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。
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