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アカウントベースドエクスペリエンスとは?ABMとの違いや導入手順を解説

法人向けの営業やマーケティングでは、リードを多く獲得するだけでなく、重要な企業に対して適切な接点をつくる必要があります。特にエンタープライズ企業では、現場担当者だけで導入を判断するケースは少なく、部門責任者や役員、購買部門など複数の関係者が意思決定に関わります。

そのため、担当者だけでなく、検討や決裁に関わる人物に対しても、適切な情報提供やアプローチが重要です。

このような考え方として注目されているのが、アカウントベースドエクスペリエンスです。アカウントベースドエクスペリエンスは、特定の重要企業に対して、営業・マーケティング・カスタマーサクセスなどが連携し、一貫した情報提供や提案をする考え方です。

ABM(アカウントベースマーケティング)と似ていますが、商談創出や受注だけでなく、受注後の関係構築まで含めて設計する点に特徴があります。

本記事では、アカウントベースドエクスペリエンスの意味やABMとの違い、注目される背景、導入メリット、実践方法を解説します。企業単位で営業・マーケティング施策を見直したい方は、ご参照ください。

▼この記事でわかる内容

アカウントベースドエクスペリエンスを実践するには、ターゲット企業を明確にした上で企業ごとに適切な情報提供や提案をする必要があります。

しかし、狙いたい企業のキーマンや決裁者との接点を持つことは容易ではありません。特にエンタープライズ企業では、通常の営業活動だけでは意思決定者との商談につながりにくいケースもあります。

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アカウントベースドエクスペリエンスとABMの違い

アカウントベースドエクスペリエンスとABMは、どちらも重要企業を選定し、受注や売上拡大につなげるための考え方です。自社にとって優先度の高い企業に対して、営業やマーケティングのリソースを集中させる点は共通しています。

一方でそれぞれには、次のような違いがあります。

比較項目ABMアカウントベースドエクスペリエンス
対象範囲リード獲得・商談創出・受注が中心認知・情報収集・比較検討・商談・受注後のフォローまで含む
関わる部門主にマーケティング部門と営業部門マーケティング・営業・カスタマーサクセス・サポートなど
成果指標リード数・商談数・受注率・売上・ROIなど商談数・受注率・LTV・継続率・アップセル率・顧客満足度など

違い①|対象範囲

ABMは、リード獲得・商談創出・受注までのマーケティングや営業活動が中心です。ターゲット企業を決めた上で、広告やメール、コンテンツ、営業提案などを組み合わせ、商談や受注につなげていきます。

一方、アカウントベースドエクスペリエンスは、認知・情報収集・比較検討・商談・受注後のフォローまで含めて設計します。受注前の営業活動だけでなく、導入後の活用支援や継続的な関係構築まで視野に入れる点が異なります。

例えば、受注後にカスタマーサクセスが導入支援を行い、追加提案やアップセルにつなげる動きも、アカウントベースドエクスペリエンスの一部です。

違い②|関わる部門

ABMは、主にマーケティング部門と営業部門が連携して進めます。マーケティングがターゲット企業向けの情報発信やリード獲得を実施し、営業が商談や提案につなげる流れが一般的です。

アカウントベースドエクスペリエンスでは、マーケティング・営業に加えて、カスタマーサクセスやサポートなども関わります。受注前だけでなく、導入後のフォローや継続的な関係構築まで含めるためです。

部門ごとにバラバラに対応すると、顧客側から見た情報提供や提案内容にズレが生じやすくなります。そのため、ターゲット企業の情報を部門間で共有し、一貫した対応を行うことが重要です。

違い③|成果指標

ABMでは、リード数・商談数・受注率・売上・ROIなどが主な成果指標になりやすいです。重要企業へのアプローチが、どれだけ商談や受注につながったかを評価します。

一方、アカウントベースドエクスペリエンスでは、商談数や受注率に加えて、LTV・継続率・アップセル率・顧客満足度なども重視します。受注して終わりではなく、その後の関係性や継続的な成果まで確認するためです。

短期的な受注だけでなく、重要企業との中長期的な関係性を評価する点が、アカウントベースドエクスペリエンスならではの特徴です。

アカウントベースドエクスペリエンスが注目される背景

アカウントベースドエクスペリエンスが注目される背景には、次のようなことが考えられます。

▼アカウントベースドエクスペリエンスが注目される背景

それぞれの背景について、以下で詳しく解説します。

背景①|BtoBの購買プロセスが複雑化している

BtoBでは、サービスの導入に複数の関係者が関わるケースが多くあります。現場担当者だけでなく、部門責任者、役員、購買部門、情報システム部門などが、それぞれ異なる視点で検討に関わることもあります。

そのため、担当者1名に情報提供するだけでは、企業全体の検討状況を把握しきれません。現場担当者は課題感を持っていても、上長の承認や予算確保、他部署との調整が進まなければ、商談が停滞するでしょう。

アカウントベースドエクスペリエンスでは、個人単位ではなく企業単位で課題や関係者を整理します。その上で、検討段階や役職に応じた情報を提供することで、企業全体の意思決定を進めやすくします。

背景②|従来の営業・マーケティング施策だけでは決裁者に届きにくい

広告やメール、テレアポ、展示会などは、見込み顧客との接点をつくる上で有効な施策です。

ただし、エンタープライズ企業のキーマンや決裁者に直接届くとは限りません。狙いたい企業が明確でも、適切な接点がなければ、商談化につながりにくいと言えます。

特に大手企業では、担当者と接点を持てても、意思決定者まで情報が届かず、検討が進まないこともあります。

そのため、重要企業へのアプローチでは、広告やメール、営業活動だけに頼るのではなく、複数の接点を組み合わせることが重要です。マーケティングや営業、カスタマーサクセスなどが同じターゲット企業を見据えて連携し、意思決定者に届く導線を設計する必要があります。

エンタープライズ企業へアプローチするには、ターゲット企業や役職を明確にした上で、商談につながる接点をつくりましょう。

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アカウントベースドエクスペリエンスを導入するメリット

アカウントベースドエクスペリエンスは、単に重要企業へアプローチするだけでなく、商談前後の接点を一貫して設計できる点に特徴があります。

本章では、アカウントベースドエクスペリエンスを導入するメリットをチェックして、自社に取り入れるべきか検討しましょう。

▼アカウントベースドエクスペリエンスを導入するメリット

メリット①|部門をまたいで一貫した対応を取りやすい

アカウントベースドエクスペリエンスでは、営業・マーケティング・カスタマーサクセスなどが、同じターゲット企業の情報を共有しながら対応方針をそろえます。

例えば、以下がバラバラだと、顧客側は一貫性のない対応だと感じやすくなります。

一方で、企業の課題や検討状況を部門間で共有できていれば、接点ごとに話がズレにくいです。顧客側から見ても「自社の状況を理解してくれている」と感じやすくなり、商談や関係構築を進めやすくなります。

メリット②|受注後の関係構築まで見据えやすい

アカウントベースドエクスペリエンスは、商談創出や受注だけでなく、受注後の活用支援や継続的な関係構築まで重視します。受注後にカスタマーサクセスやサポートが導入支援を実施し、利用状況や課題を把握することで、継続利用につなげやすくなります。

顧客の状況に応じて追加提案をすれば、アップセルやクロスセルの機会も生まれるケースも少なくありません。

ABMが受注前の活動に寄りやすいのに対し、アカウントベースドエクスペリエンスは受注後の関係構築まで重視します。

メリット③|受注前後の接点を一貫して設計しやすい

BtoBでは、情報収集や比較検討、商談、稟議、導入後の活用支援など、複数の接点を通じて顧客との関係が進みます。

ABMでは、商談創出や受注までの施策に意識が向きがちです。一方、アカウントベースドエクスペリエンスでは、受注前の情報提供から受注後のフォローまでを企業単位で設計します。

そのため、営業段階で伝えた内容と導入後の支援内容にズレが生じにくく、顧客側も一貫した対応を受けやすくなります。

アカウントベースドエクスペリエンスの導入方法

アカウントベースドエクスペリエンスを導入する際は、ターゲット企業を決めるだけでなく、企業ごとの情報整理や接点設計、部門間の連携まで進める必要があります。

ここでは、アカウントベースドエクスペリエンスを導入する基本的な流れを解説します。

▼アカウントベースドエクスペリエンスの導入方法

  1. ターゲットアカウントを選定する
  2. 企業ごとの情報を整理する
  3. 購買プロセスに合わせて接点を設計する
  4. 営業・マーケティング・カスタマーサクセスで連携する
  5. 成果を検証して改善する

1.ターゲットアカウントを選定する

まずは、重点的にアプローチするターゲットアカウントを選定します。ターゲットアカウントとは、自社にとって受注可能性や売上インパクトが大きい重要企業のことです。

選定する際は、売上規模や業界、事業課題、導入可能性、既存接点などをもとに判断します。すべての企業に同じようにアプローチするのではなく、優先度の高い企業に営業・マーケティングのリソースを集中させることが重要です。

ターゲット企業が曖昧なままだと、情報提供や営業アプローチも一律になりやすくなります。アカウントベースドエクスペリエンスを実践するためにも、まずは「どの企業を重点的に狙うのか」を明確にしましょう。

2.企業ごとの情報を整理する

ターゲットアカウントを選定したら、企業ごとの情報を整理します。事業内容や業界課題、組織体制、担当部署、意思決定者、既存接点などを把握することで、企業単位でアプローチを設計しやすくなります。

情報整理には、CRMやSFA、名刺情報、商談履歴、Web行動データなどを活用するのがおすすめです。営業担当者だけが情報を持っている状態では、部門をまたいだ一貫した対応が難しくなるため、社内で共有できる形にまとめておきましょう。

3.購買プロセスに合わせて接点を設計する

次は、ターゲット企業の購買プロセスに合わせた接点の設計です。BtoBでは、情報収集や比較検討、稟議、決裁、導入後の活用など、複数の段階を経て購買が進みます。

そのため、検討段階ごとに必要な情報や接点を整理することが重要です。

例えば、情報収集段階では課題を整理するコンテンツ、比較検討段階では導入事例や費用対効果を示す資料、決裁段階ではリスク対策や投資対効果を説明する情報が求められます。

一律の営業資料やメール配信では、企業ごとの課題や検討状況に合わず、十分に響かない場合があります。ターゲット企業に合わせて、伝える内容や接点を設計しましょう。

4.営業・マーケティング・カスタマーサクセスで連携する

アカウントベースドエクスペリエンスでは、マーケティングだけ、営業だけで完結させません。ターゲット企業に対する方針を部門間で共有し、一貫した対応ができる体制を整える必要があります。

具体的には、営業は商談で得た課題や関係者の情報を共有し、マーケティングはコンテンツや広告への反応を共有します。カスタマーサクセスは、導入後の課題や活用状況を共有することで、継続支援や追加提案につなげやすいです。

部門ごとに個別最適で動くと、顧客側から見た情報提供や提案内容にズレが生じやすくなります。企業単位で一貫した対応を行うためにも、部門をまたいだ情報共有と連携が不可欠です。

5.成果を検証して改善する

最後に、実施した施策の成果を検証し、改善につなげます。アカウントベースドエクスペリエンスは、一度設計して終わりではありません。企業ごとの反応を見ながら、情報提供や営業アプローチを見直していくことが大切です。

確認する指標としては、商談化率や受注率、接触できた関係者数、案件単価、継続率、アップセル率などがあります。どの情報が反応されたのか、どの関係者と接点を持てたのか、どの段階で商談が止まったのかを分析しましょう。

成果を検証しながら改善を続けることで、重要企業に対するアプローチの精度を高めやすくなります。

アカウントベースドエクスペリエンスを導入する際の注意点

アカウントベースドエクスペリエンスは、重要企業に合わせて情報提供や提案を設計できる一方で、運用負荷が大きくなりやすい施策です。

ここでは、アカウントベースドエクスペリエンスを導入する際の注意点を解説します。

▼アカウントベースドエクスペリエンスを導入する際の注意点

注意点①|対象にする企業を広げすぎない

アカウントベースドエクスペリエンスでは、企業ごとに情報提供や営業アプローチを設計するため、対象企業を広げすぎると運用負荷が大きくなります。最初から多くの企業を対象にすると、企業ごとの課題や検討状況に合わせた対応が難しくなり、結局は一律のメール配信や汎用的な営業活動になりやすいです。

まずは優先度の高い企業に絞り、成果や運用体制を確認しながら対象を広げることが重要です。

注意点②|顧客情報を集めるだけで終わらせない

アカウントベースドエクスペリエンスでは、企業ごとに適切な情報提供や営業アプローチを行うため、企業情報や接点履歴の整理が重要です。

ただし、データを集めるだけでは成果につながりません。収集した情報をもとに、どの部署に、どの順番で、どのような情報を届けるかまで落とし込む必要があります。

CRMやSFAを整備しても、営業提案やフォローに活用できなければ、単なる情報管理で終わってしまいます。データを蓄積するだけでなく、実際のアプローチに活かせる状態にしましょう。

注意点③|部門ごとのKPIがズレると連携しにくい

マーケティングがリード数、営業が受注数、カスタマーサクセスが継続率だけを追っていると、部門ごとに優先する行動がズレやすくなります。

アカウントベースドエクスペリエンスでは、ターゲット企業ごとの商談化率や受注率、LTV、関係者との接点数など、共通で見られる指標を設定することが重要です。

部門ごとの成果だけでなく、企業単位で成果を確認する仕組みを作ることで、営業・マーケティング・カスタマーサクセスが同じ方向を向きやすくなります。

注意点④|パーソナライズをやりすぎると費用対効果が悪くなる

アカウントベースドエクスペリエンスでは企業ごとの対応が重要ですが、すべてを個別化すると工数が膨らみやすくなります。個別資料や専用コンテンツを作り込みすぎると、商談化する前に時間やコストがかかりすぎる場合があります。

共通化できる資料やメールはテンプレート化し、重要な部分だけ企業ごとに調整することが大切です。すべてを個別化するのではなく、費用対効果を見ながら対応範囲を決めましょう。

まとめ

アカウントベースドエクスペリエンスとは、特定の重要企業に対して、営業・マーケティング・カスタマーサクセスなどが連携し、一貫した情報提供や提案を行う考え方です。

ABMと同じく重要企業からの受注や売上拡大を目指します。一方で、アカウントベースドエクスペリエンスでは、商談創出や受注だけでなく、受注後の活用支援や関係構築まで含めて設計する点に特徴があります。

重要なのは、ターゲット企業を選ぶだけで終わらせないことです。企業ごとの課題や検討状況を整理し、誰に、どのタイミングで、どのような情報を届けるかまで設計してこそ、アカウントベースドエクスペリエンスは機能します。

まずは優先度の高い企業を絞り、営業・マーケティング・カスタマーサクセスで情報を共有しながら、企業単位で成果を確認できる体制を整えましょう。

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この記事の監修者

長峰 彩乃
長峰 彩乃
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。

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