COLUMNタクウィルコラム

アカウントプランとは?営業成果につながる作り方・記載項目・活用ポイントを解説

アカウントプランは、重要顧客への営業戦略を明確にし、継続的な取引や売上拡大につなげるための計画です。顧客の課題や組織構造、意思決定者などを整理することで、誰に・どのようなアプローチをするべきか具体化できます。

特に大手企業への営業では、意思決定に複数の関係者が関わるため、顧客情報を整理したうえで中長期的な戦略を立てることが欠かせません。

本記事では、アカウントプランの概要やABMとの関連、営業活動にもたらす効果を解説します。アカウントプランの作り方や記載項目、成果につなげるための活用ポイントも紹介するので、重要顧客への営業を強化したい方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

アカウントプランとは?
アカウントプランとABMの関連
アカウントプランが営業活動にもたらす3つの効果
アカウントプランの作り方5ステップ
アカウントプランの主要な記載項目
アカウントプランを活用して成果を出す3つのポイント

この記事の監修者

長峰 彩乃
長峰 彩乃
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。

大手企業の開拓では「決裁者にたどり着けない」「長期間アプローチしても商談につながらない」といった課題が生じやすくなります。

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アカウントプランとは?

アカウントプランとは、特定の重要顧客との取引拡大に向けて、顧客情報や営業方針、具体的な行動をまとめた計画です。顧客の課題やニーズ、組織構造、意思決定者などを整理し、「誰に・何を・どのように提案するか」を明確にします。

アカウントプランを作成することで、営業担当者の経験や勘だけに頼らず、顧客の状況に合わせたアプローチを進めやすくなります。営業だけでなく、マーケティングなどの関連部門と顧客情報や方針を共有し、組織全体で一貫した営業活動を進めるためにも有効です。

アカウントプランとABMの関連

ABMは、自社にとって重要な企業を選定し、その企業に合わせてマーケティングや営業活動を行う手法です。幅広い見込み顧客にアプローチするのではなく、優先度の高い企業にリソースを集中させます。

ABMが「どの企業を狙うか」を決めるのに対し、アカウントプランは「その企業にどうアプローチするか」を定める計画です。また、アカウントプランをもとに「誰が・いつ・何をするか」を具体化したものがアクションプランです。

つまり、ABMで対象企業を選定し、アカウントプランで顧客ごとの方針を定め、アクションプランで具体的な行動に落とし込むという関係にあります。

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アカウントプランが営業活動にもたらす3つの効果

アカウントプランが営業活動にもたらす3つの効果について詳しく解説します。

アカウントプランが営業活動にもたらす3つの効果

効果①|投資判断ができる
効果②|取引実現による売上拡大が見込める
効果③|営業担当者の顧客理解が深まる

効果①|投資判断ができる

アカウントプランを作成すると、限られた営業リソースをどの顧客に優先して投入するか判断しやすくなります。顧客ごとの取引規模や成長性、今後の取引拡大の可能性を整理・比較できるためです。

例えば、複数部署への導入や追加契約が見込める顧客には、担当者を増やしたり、提案機会を積極的に設けたりするといった判断が可能です。一方、取引拡大の余地が小さい顧客には必要以上の工数をかけないなど、メリハリをつけられます。

顧客ごとに期待できる成果を踏まえて、追加の人員配置や提案活動にコストをかけるべきか判断しやすくなります。

効果②|取引実現による売上拡大が見込める

アカウントプランを活用すると、顧客の課題や今後の事業方針を踏まえた提案がしやすくなり、取引拡大につながります。

例えば、一部署で自社サービスを利用している顧客でも、他部署の課題を把握することで横展開を検討できます。また、顧客が新規事業への参入を予定している場合には、その計画に合わせて追加サービスを提案することも可能です。

このように、「次にどの部署へ提案するか」「どの商品・サービスを追加提案できるか」まで整理できる点がアカウントプランのメリットです。アップセルやクロスセルを含めた中長期的な売上拡大を目指しやすくなります。

効果③|営業担当者の顧客理解が深まる

アカウントプランを作成する過程では、顧客の事業内容や組織構造、抱えている課題、キーパーソンなどの情報を整理します。そのため、営業担当者が顧客について理解を深めたうえで商談に臨めるようになります。

例えば、以下のような情報を整理することで、顧客の状況を踏まえたヒアリングや提案がしやすくなるでしょう。

顧客への理解が深まることで、表面的な要望だけでなく、背景にある課題を踏まえた提案にもつなげられます。

アカウントプランの作り方5ステップ

ここでは、アカウントプランの作り方を5つのステップに分けて解説します。

アカウントプランの作り方5ステップ

ステップ①|対象アカウントの選定
ステップ②|アカウント情報の収集
ステップ③|目標設定と戦略立案
ステップ④|アクションプランの立案
ステップ⑤|実行とPDCAでの見直し

ステップ①|対象アカウントの選定

まず、注力すべき対象を絞り込むことから始めましょう。

限られた営業リソースを成果に結びつけるには、取引額や成長性、自社との相性を基準に優先順位をつける必要があります。例えば、現状の売上規模だけでなく、今後の取引拡大の余地や業界内での影響力も加味すると選定の精度が上がります。

既存顧客ならLTVの推移や解約リスク、新規顧客なら予算規模や意思決定のスピードも判断材料のひとつです。優先順位を明確にすることで、注力すべき顧客に営業リソースを集中させやすくなります。

ステップ②|アカウント情報の収集

対象が決まったら、顧客の情報を集めるフェーズに移ります。公式サイトやIR資料、ニュースリリースといった公開情報を活用して情報を集めましょう。

事業内容や中期経営計画を押さえつつ、組織図やキーパーソンの役割、過去のやり取りといった現場に近い情報も併せて集めます。集めた情報はSWOT分析などを使って整理し、顧客が抱える課題や目指したい姿を言語化しておくと、次のステップに活かしやすくなります。

ステップ③|目標設定と戦略立案

顧客理解が深まったら、顧客との関係で何を実現したいのかを明確にします。

例えば「年間取引額を〇%伸ばす」といったゴール(KGI)と、「月1回キーパーソンと商談機会を持つ」といった中間指標(KPI)をセットで設定します。また、以下のように顧客の課題に対して自社の強みをどう当てはめられるかを整理し、「なぜ自社を選ぶべきか」を言葉にしておきましょう。

顧客の課題自社の強み・提供価値
業務プロセスが非効率で人件費がかさんでいる自社システム導入で作業時間を削減できる
意思決定に必要な情報がバラバラで判断が遅いデータ一元管理による意思決定スピードの向上
新規事業立ち上げに必要なノウハウが不足している業界知見を活かした伴走型の提案力

この軸が定まることで、提案内容にぶれがなくなり、チーム内の認識もそろいます。

ステップ④|アクションプランの立案

策定した戦略を、具体的な行動レベルまで落とし込みます「誰が」「いつまでに」「何をするか」を明確にし、担当者・期限・実施内容を具体的に設定しましょう。

例えば、以下のように設定します。

このように担当者や期限、実施内容を具体化することで、各担当者が迷わず行動に移せるようになります。

ステップ⑤|実行とPDCAでの見直し

戦略を実行した後は、定期的に進捗や成果を確認し、アカウントプランを見直します顧客の状況や商談の進捗は変化するため、一度作成した計画をそのまま運用し続けるのは適切ではありません。

週次や月次でチームミーティングを設け、以下の項目を確認しましょう。

計画どおりに進んでいない場合は原因を分析し、目標やアクションを修正します。PDCAを継続的に回すことで、顧客の状況に合わせてアカウントプランの精度を高められます。

アカウントプランの主要な記載項目

アカウントプランの主な記載項目は以下の通りです。

項目目的記載方法
顧客課題・ニーズの分析顧客が直面している具体的な問題や顧客が達成したい目標、顧客が求める価値を明確にするインタビューや決算情報、IR資料などから深掘りする
目標・KPI顧客との関係における具体的な目標を設定し、達成度を測定する顧客との関係を通じて達成したい具体的な成果を定義する
競合マップ顧客の業界における競合状況を分析し、競合企業の戦略と強みを把握する顧客の主要な競合企業を特定し、それぞれの企業の製品・サービス、価格戦略やマーケティング戦略、顧客との関係などを分析する
顧客プロファイル顧客組織内部の力関係と意思決定プロセスを理解する顧客組織図、部門構成、意思決定に関与するキーパーソンの役割と影響力、企業文化、価値観、ビジネス目標などを記載する
アクションプラン「いつ」「誰が」「何を」「どのように」行うのかを明確に定義し、具体的なタスク、責任者、期限、必要なリソースを洗い出すフェーズ別に必要なアクションを落とし込む
ステークホルダー各ステークホルダーの専門性やスキル、リソースなどを考慮し、適切な役割分担を行うキーマン・現場担当者・導入部門・経理など、社内外の関係者一覧と影響度、関係性を記載する

項目①|顧客課題・ニーズの分析

アカウントプランの基盤となるのが、顧客の課題とニーズの詳細な分析です。分析を通じて、顧客が直面している具体的な問題や顧客が達成したい目標、顧客が求める価値を明確にします。

具体的には、以下のような項目を分析します。

情報収集には、商談でのヒアリングに加えて、顧客の公式サイトやIR資料、中期経営計画、ニュースリリースなどを活用しましょう。

項目②|目標・KPI

続いて、顧客との関係を通じて達成したい具体的な成果を定義します。例えば、以下のように設定しましょう。

目標KPI
年間取引額を20%伸ばす月2回以上の商談を実施する
他部署へサービスを展開する3カ月以内に他部署のキーパーソン3名と接点を持つ
新サービスを追加契約してもらう半年以内に提案機会を3回設ける
契約を継続してもらう四半期ごとに利用状況のヒアリングを実施する

KPIは最終的な成果だけでなく、商談回数やキーパーソンとの接点数など、目的達成までの進捗を確認できる指標を設定するのがポイントです。

項目③|競合マップ

競合マップでは、対象顧客との取引において、自社と競合する企業やサービスの状況を整理します。「顧客との関係性はどの程度か」「自社と比べてどこに強みがあるか」などを分析する項目です。

具体的には、以下の情報を整理します。

例えば、「A社は情報システム部との取引実績が長い」「B社は価格面で優位」「自社は営業部との関係が強い」といった情報を整理します。顧客内での競合各社の立ち位置を可視化することで、自社がどの部署・人物にアプローチし、何を訴求すべきか検討しやすくなります。

項目④|顧客プロファイル

顧客プロファイルには、顧客企業の基本情報や組織構造、商談に関わる人物などを整理します。顧客へのアプローチ方法を検討するために必要な情報です。

具体的には、以下の項目を記載します。

これらの項目を整理することで、顧客内の意思決定の流れや、商談を進めるうえでアプローチすべき人物が明確になります。

項目⑤|アクションプラン

アクションプランには、設定した目標を達成するために必要な営業活動を具体的に記載します。「誰が・いつまでに・何をするか」を明確にすることがポイントです。

担当者・期限・具体的な行動を時系列で整理することで、次に取るべきアクションが明確になり、対応漏れも防ぎやすくなります。

項目⑥|ステークホルダー

ステークホルダーには、商談や導入に関わる人物と、それぞれの立場や影響力を記載します。現場担当者や部門責任者、決裁者、経理・法務など、契約までに関与する人物を洗い出しましょう。

人物ごとに「決裁にどの程度の影響力があるか」「自社との接点があるか」まで整理しておくと、営業活動の進め方が見えてきます。導入に前向きなキーパーソンには社内調整への協力を依頼し、慎重な決裁者には懸念点を確認するなど、相手の立場に応じたアプローチを検討しましょう。

アカウントプランを活用して成果を出す3つのポイント

最後に、アカウントプランを活用して成果を出す3つのポイントについて解説していきます。

アカウントプランを活用して成果を出す3つのポイント

ポイント①|中長期的に持続可能な体制を築く
ポイント②|他部門と連携して合意形成する
ポイント③|データドリブンな意思決定をする

ポイント①|中長期的に持続可能な体制を築く

アカウントプランは、長く運用し続けられるように設計しましょう。顧客の課題やニーズは、事業方針や市場環境によって変化するためです。

例えば、人的リソースや予算は、半年〜1年単位の視点で配分し、無理のないペースで継続できるようにします。また、担当者が異動や退職をしても引き継ぎに困らないよう、顧客情報や商談経緯をSFA・CRMなどで一元管理しておくことも欠かせません。

継続的に運用できる体制を整えることで、顧客ニーズの変化にも柔軟に対応できます。

ポイント②|他部門と連携して合意形成する

アカウントプランを実行する際は、営業部門だけで進めず関連部門と方針を共有し、合意形成を図りましょう。部門間で認識がそろっていないと、顧客への提案や対応にズレが生じる可能性があるためです。

プランの内容を関連部門と共有し、「どの部門が・何を担当するのか」「いつまでに対応するのか」を事前にすり合わせます。経営層の協力が必要な場合は、早い段階で相談しておくことも大切です。

また、定例を設けて進捗や課題を横断的に共有すれば、部門をまたいだ意思決定のスピードも向上します。

ポイント③|データドリブンな意思決定をする

アカウントプランを見直す際は、担当者の感覚だけで判断せず、顧客データや営業実績をもとに判断しましょう。客観的なデータを確認することで、計画どおりに営業活動が進んでいるかを判断しやすくなります。

例えば、商談回数や受注額、提案後の反応、サービスの利用状況などを確認します。「商談回数は増えているものの受注につながっていない」場合は、提案内容やアプローチする相手を見直すといった判断が可能です。

定期的にデータを確認し、結果に応じて目標やアクションを修正することで、アカウントプランの精度を高められます。

まとめ

アカウントプランは、顧客の課題や組織構造、キーパーソンなどを整理し、重要顧客への営業方針を明確にするための計画です。対象企業を選定したうえで情報を収集し、目標や具体的なアクションを設定しましょう。

また、作成後も定期的に進捗を確認し、顧客ニーズの変化に合わせて見直すことが大切です。

一方で、大手企業への営業では、戦略を立てても決裁者との接点を持てず、商談まで進められないケースがあります。

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この記事の監修者

長峰 彩乃
長峰 彩乃
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。

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