ランチェスター戦略を営業に活かす方法|弱者が競合に勝つための実践手順を解説

ランチェスター戦略は、限られたリソースで競合に勝つための戦略理論です。営業活動においては、大手企業や競合と正面から戦うのではなく、自社が勝ちやすい市場や顧客層を見極め、営業リソースを集中させます。
特に中小企業や新規参入企業の場合、営業人数や広告費、知名度で大手企業に勝つのは簡単ではありません。幅広いターゲットにやみくもに営業するよりも、狙う業界や企業規模、課題を絞り、決裁者や責任者との接点を作ることが重要です。
本記事では、ランチェスター戦略の基本や営業で活用するメリット、営業戦略の立て方、導入時の注意点を解説します。新規開拓や競合対策に課題を感じている方は、最後まで読んでお役立てください。
▼この記事でわかる内容
- ランチェスター戦略の基本的な考え方
- 営業でランチェスター戦略を活用するメリット
- 弱者が競合に勝つための営業戦略の立て方
- ターゲット選定や営業リスト作成のポイント
- ランチェスター戦略を営業に活かす際の注意点
ランチェスター戦略を活用して、勝てる市場や顧客層を絞っても、狙った企業の決裁者・責任者と接点を持てなければ、商談にはつながりません。
タクウィルセールスでは、事前に狙いたい業界・企業規模・役職などをヒアリングした上で、エンタープライズ企業のアポイント獲得を支援しています。戦略を実行に移し、新規開拓や決裁者との商談機会を増やしたい方は、タクウィルセールスをご確認ください。
ランチェスター戦略とは?

ランチェスター戦略とは、競争に勝つための戦略理論です。もともとは戦闘における損害量を分析する「ランチェスターの法則」を元にした考え方で、現在では市場シェアの拡大や競合対策、営業戦略などに応用されています。
日本では、竹田陽一氏などにより、中小企業向けの経営・営業戦略として広まりました。限られた営業人員や予算で競合に勝つには、広い市場で大手企業と正面から戦うのではなく、自社が勝ちやすい市場や顧客層を見極めることが重要です。
営業活動においても、ランチェスター戦略は「どの市場を狙うか」「どの顧客に集中するか」「どの競合からシェアを奪うか」を考える上で役立ちます。やみくもに営業先を増やすのではなく、勝てる領域に営業リソースを集中させる考え方です。
第一法則|弱者が局地戦で勝つための考え方
ランチェスターの第一法則は、一騎打ちや接近戦、局地戦に近い戦い方を前提とした考え方です。戦力差が大きく出にくい限られた範囲で戦うことで、弱者でも勝機を見出しやすくなります。
営業に置き換えると、特定の地域・業界・顧客層に絞って深くアプローチする戦略です。
例えば、幅広い業界に営業するのではなく、特定業界の企業や特定課題を抱える部署などに絞ることで、営業メッセージや提案内容を具体化しやすくなります。
中小企業や新規参入企業は、大手企業と同じ土俵で戦うよりも、第一法則を意識して勝てる市場を狭く定めることが重要と説いています。
第二法則|強者が広域戦で勝つための考え方
ランチェスターの第二法則は、広い市場で戦う場合に戦力差が大きく出やすいという考え方です。営業人数や広告費、ブランド力、認知度などがある企業ほど有利になりやすく、強者が市場全体で優位を保つ際に活用しやすくなります。
営業活動でも、広い業界や幅広い企業規模を一気に狙う場合、営業リソースの差が成果に直結しやすいです。
大手企業は多くの営業担当者や広告予算を使って市場全体にアプローチできます。一方で、資金やブランド力が限られる中小企業や新規参入企業が同じ戦い方をすると、営業リソースが分散し、十分な接触回数や提案の質を十分に確保できません。
そのため、弱者の立場にある企業は、第二法則の土俵で正面からではなく、第一法則を意識して市場や顧客層を絞り込むことが大切です。
営業でランチェスター戦略を活用するメリット

営業活動にランチェスター戦略を活用すると、次のようなメリットがあります。
▼営業活動にランチェスター戦略を活用するメリット
- メリット①|営業リソースが分散しない
- メリット②|大手企業や競合と正面から戦わずに済む
- メリット③|営業活動の優先順位を決めやすくなる
順番に見ていきましょう。
メリット①|営業リソースが分散しない
営業人数や時間は限定的です。幅広い業界や企業規模に同じように営業すると、営業リストの作成やアプローチ、商談後のフォローにかかる負担が大きくなり、1社あたりにかけられる時間も少なくなります。
ランチェスター戦略では、勝てる市場や顧客層に営業リソースを集中させます。例えば、特定の業界や企業規模、課題を持つ企業に絞れば、営業トークや提案資料を磨くことが可能です。
結果として、やみくもに営業先を増やすよりも、商談化や受注につながる可能性の高い企業に時間を使いやすくなります。
メリット②|大手企業や競合と正面から戦わずに済む
知名度や価格、広告予算で大手企業と正面から戦うと、中小企業や新規参入企業は不利になりやすくなります。なぜなら、大手企業は営業人数やブランド力を活かして広い市場にアプローチできるため、同じ土俵で戦うとリソース差が成果に影響しやすいためです。
ランチェスター戦略を活用すると、競合が手薄な市場や顧客層を狙いやすくなります。大手企業が注力していない業界、対応しきれていない企業規模、特定の課題を抱えた顧客層などに絞ることで、自社が選ばれる理由を作りやすくなります。
広い市場で一気に勝とうとするのではなく、まずはニッチな領域でNo.1を目指すことが、弱者にとって現実的な営業戦略です。
メリット③|営業活動の優先順位を決めやすくなる
営業活動では、どの顧客に先にアプローチすべきかを判断することが重要です。営業に使える時間や人員には限りがあるため、すべての見込み顧客に同じ熱量で対応することはできません。
優先順位が曖昧なままだと、受注確度の低い企業に時間を使ってしまったり、本来注力すべき顧客へのフォローが遅れたりします。その結果、商談化や受注につながる可能性の高い顧客を取りこぼす恐れがあります。
ランチェスター戦略を活用すると、既存顧客との共通点や競合状況、受注確度を元に、優先すべき営業先を判断しやすくなるのがメリットです。営業先の優先順位が明確になれば、リスト作成からアプローチ、フォローまで一貫して設計しやすくなります。
ランチェスター戦略を使った営業戦略の立て方

ランチェスター戦略を営業に活かすには、ただターゲットを絞るだけでは不十分です。自社の強みを整理したうえで、攻める市場や競合、営業リスト、アプローチ方法まで一貫して設計する必要があります。
ここでは、ランチェスター戦略を使った営業戦略の立て方を解説します。
▼ランチェスター戦略を使った営業戦略の立て方
- 自社の強みを整理する
- 攻めるターゲットを決める
- 競合を特定する
- 営業リストを作成する
- アプローチ方法を決める
- 商談後のフォローを設計する
1. 自社の強みを整理する
最初は、競合と比べて自社が勝てるポイントを整理することです。
価格や対応スピード、専門性、実績、サポート体制など、顧客から選ばれている理由を明確にしましょう。
自社の強みが明確に見えてこない場合は、既存顧客に直接ヒアリングしたり、取材したりするのが有効です。自社が強みだと思っている点と、顧客が実際に価値を感じている点が異なる場合もあるため、顧客目線で選ばれる理由を確認することをおすすめします。
2. 攻めるターゲットを決める
次に、営業リソースを集中させるターゲットを決めます。業界や地域、企業規模、課題などで市場を細分化し、自社が成果を出しやすい顧客層を見極めます。
既存顧客の傾向を見ると、勝ちやすいターゲットを見つけやすいです。例えば、受注率が高い業界や継続率が高い企業規模、商談化しやすい課題などを確認すると、自社と相性のよい市場が見えてきます。
企業数や受注単価、導入可能性も確認し、営業リソースを集中させる価値がある市場を選びましょう。
3. 競合を特定する
攻めるターゲットを決めたら、その市場で比較されやすい競合を把握します。
顧客は、自社サービスだけを見て導入を判断するわけではありません。多くの場合、他社サービスや既存の取引先、内製化などの選択肢と比較しています。
そのため、競合を把握していないと、顧客が重視している比較軸が分からず、適切な訴求ができません。価格、実績、対応範囲、サポート体制などを比較しながら、自社が勝てるポイントを提案に反映しましょう。
4. 営業リストを作成する
ターゲットと競合を整理したら、営業リストの作成です。決めたターゲット条件に合う企業をリスト化し、優先してアプローチすべき企業を明確にする必要があります。
営業リストには、企業名だけでなく、業界、企業規模、部署、役職、課題仮説なども整理しておくと、アプローチの精度が高まりやすくなります。誰に、どのような切り口で接触するかを事前に考えられるためです。
営業リストの質が低いと、アプローチ数を増やしても商談化や受注につながりにくいため、受注につながりやすい企業を優先しましょう。
5. アプローチ方法を決める
営業リストを作成したら、ターゲットに合わせてアプローチ方法を決めます。テレアポやフォーム営業、メール、紹介、展示会など、顧客と接点を持つ手法は複数あります。
例えば、決裁者や責任者と直接接点を作りたい場合は、テレアポが有効です。電話で相手の状況を確認できるため、課題感や検討状況を把握しながら商談につなげやすくなります。
一方で、相手が電話に出にくい場合や、事前に情報提供したい場合は、メールやフォーム営業、資料送付を組み合わせる方法もあります。
重要なのは、1回の接触で終わらせないことです。電話やメール、資料送付、再架電など複数回の接点を前提に、誰に、どのような課題を切り口に、どのタイミングで接触するかを設計しましょう。
6. 商談後のフォローを設計する
商談機会を作った後は、フォローも重要です。商談後に接点が途切れると、相手の検討優先度が下がったり、自社の提案内容を忘れられたりする恐れがあります。
商談後は、検討状況や課題、決裁者、競合状況を整理しましょう。見込み度に応じて、資料送付、再提案、事例共有、追加ヒアリングなど、フォロー内容を変えることが大切です。
また、次回接点や確認事項を明確にしておくことで、商談後の停滞を防ぎやすくなります。営業活動はアポイントを獲得して終わりではなく、商談機会を受注につなげるまで設計をつくる必要があります。
ランチェスター戦略を活用して勝てる市場や顧客層を見極めても、狙った企業の決裁者・責任者と接点を持てなければ、商談にはつながりません。
タクウィルセールスでは、事前に狙いたい業界・企業規模・役職などをヒアリングしたうえで、エンタープライズ企業のアポイント獲得を支援しています。
新規開拓や決裁者との商談機会づくりに課題がある方は、タクウィルセールスをご確認ください。
ランチェスター戦略を営業に活かす際の注意点

ランチェスター戦略は、限られた営業リソースを有効に使ううえで役立つ考え方です。ただし、ターゲットを絞れば必ず成果が出るわけではありません。
本章では、営業にランチェスター戦略を活用する際の注意点をチェックしましょう。
▼営業にランチェスター戦略を活用する際の注意点
- 注意点①|ターゲットを広げすぎない
- 注意点②|大手企業と同じ土俵で戦わない
- 注意点③|差別化ポイントは自分で考えない
- 注意点④|最初から上手くいかない
注意点①|ターゲットを広げすぎない
ランチェスター戦略を営業に活かす際は、ターゲットを広げすぎないことが大切です。最初から幅広い業界や企業規模を狙うと、営業メッセージがぼやけやすくなります。
例えば、すべての法人向けよりも、「特定業界の中堅企業向け」「特定課題を抱える管理部門向け」のように絞った方が、顧客に刺さる提案を作りやすくなります。
まずは自社が勝ちやすい市場に絞り、営業リソースを集中させましょう。小さな市場で実績を作ったうえで、近い業界や課題へ横展開する流れが理想です。
注意点②|大手企業と同じ土俵で戦わない
ランチェスター戦略を営業に活かす際は、大手企業と同じ比較軸で戦わないことが重要です。知名度や価格、導入実績、対応範囲の広さなどで比較されると、資金やブランド力のある大手企業が有利になりやすいためです。
特に「安さ」「機能の多さ」「対応できる範囲の広さ」だけを打ち出すと、大手と同じ土俵に上がりやすくなります。中小企業や新規参入企業は、競合が手薄な業界や課題に絞り、自社が選ばれる理由を明確にしましょう。
大手が対応しにくい柔軟な提案や個別対応、特定領域への深い理解などを強みにすれば、正面から戦わずに勝ち筋を作りやすくなります。
注意点③|差別化ポイントは自分で考えない
差別化ポイントは、自社だけで考えないようにしましょう。自社が強みだと思っている点でも、顧客が価値を感じていなければ、選ばれる理由にはなりません。
重要なのは、機能差や価格差だけでなく、顧客の課題解決にどうつながるかを整理することです。対応が早いという強みも、顧客にとっては「社内稟議に必要な情報をすぐに揃えられる」「トラブル時に相談しやすい」といった価値に言い換えられます。
注意点④|最初から上手くいかない
ランチェスター戦略を取り入れても、最初から正解が見つかるとは限りません。ターゲットを絞ったつもりでも、実際には商談化しにくかったり、想定していた課題が顧客に刺さらなかったりすることがあります。
そのため、商談化率や受注率、失注理由を確認しながら、ターゲットや訴求を改善することが大切です。営業結果を振り返ることで、どの業界・企業規模・課題で反応がよいのかが見えやすくなります。
一度決めた戦略に固執するのではなく、仮説検証を続けながら勝ちやすい市場を見つけていきましょう。
ランチェスター戦略の営業活用に関するよくある質問

ここでは、ランチェスター戦略を営業に活用する際によくある質問に回答します。
ランチェスター戦略は中小企業だけでなく大企業にも使えますか?
ランチェスター戦略は、中小企業だけでなく大企業の営業戦略にも活用できます。
ただし、中小企業や新規参入企業は「弱者の戦略」、大企業や市場シェアの高い企業は「強者の戦略」を意識する必要があります。弱者は市場を絞って局地戦で勝つこと、強者は広い市場で優位性を維持することが基本です。
自社の立場や市場でのシェアに応じて、取るべき営業戦略は変わります。
ランチェスター戦略を営業に活かす場合、最初に何をすべきですか?
まずは、自社が勝ちやすい市場や顧客層を見極めることが重要です。
既存顧客の業界や企業規模、受注理由、継続率などを確認すると、成果につながりやすいターゲットを見つけやすくなります。反対に、受注率が低い市場や継続しにくい顧客層に営業リソースを使い続けると、成果が出にくくなります。
勝ちやすいターゲットを整理したうえで、営業リスト作成やアプローチ方法の設計に進みましょう。
ターゲットを絞りすぎると営業機会が減りませんか?
ターゲットを絞ると、営業対象となる企業数は少なくなりますが、その分だけ営業メッセージを具体化しやすくなり、商談化率や受注率が高まります。
ただし、絞り込みすぎて対象企業数や受注単価が小さくなりすぎると、十分な売上につながらない場合もあります。
まずは小さな市場で実績を作り、反応がよい業界や課題を見極めながら、近い領域へ横展開できるかも確認しましょう。
ランチェスター戦略とテレアポは相性がよいですか?
ランチェスター戦略とテレアポは、勝てるターゲットを絞った上で決裁者や責任者に直接接点を作りやすいため、相性が良いです。
特にBtoB営業では、狙いたい企業や役職が明確な場合、電話によって相手の状況を確認しながら商談機会を作れる可能性があります。メールやフォーム営業、資料送付なども組み合わせて、接触機会を増やしていきましょう。
ランチェスター戦略を導入しても営業成果が出ない原因は何ですか?
ランチェスター戦略を導入しても営業成果が出ない場合、ターゲットを絞るだけで終わっているケースがあります。営業リスト作成やアプローチ設計まで落とし込めていなければ、商談機会は増えません。
また、自社目線の強みを打ち出してしまい、顧客にとっての価値が伝わっていないことも想定されます。顧客が何に困っているのか、競合と比べてどの点に価値を感じるのかを確認することが重要です。
商談化率や受注率、失注理由を確認しながら、ターゲットや訴求を改善していきましょう。
まとめ

ランチェスター戦略は、限られた営業リソースで競合に勝つための考え方です。中小企業や新規参入企業が営業成果を高めるには、大手企業と同じ土俵で戦うのではなく、自社が勝ちやすい市場や顧客層を見極める必要があります。
営業に活かす際は、自社の強みを整理し、攻めるターゲットや競合を明確にした上で、営業リスト作成やアプローチ方法、商談後のフォローまで一貫して設計しましょう。
ただし、ランチェスター戦略を活用して勝てる市場や顧客層を見極めても、狙った企業の決裁者・責任者と接点を持てなければ、商談にはつながりません。
タクウィルセールスでは、事前に狙いたい業界・企業規模・役職などをヒアリングしたうえで、エンタープライズ企業のアポイント獲得を支援しています。
新規開拓や決裁者との商談機会づくりに課題がある方は、タクウィルセールスをご確認ください。
この記事の監修者

-
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。
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