COLUMNタクウィルコラム

株式会社損害保険ジャパン 元常務執行役員の水口顧問が語る、アナリストが推奨する損保IRの根幹とは

損害保険ジャパンで36年間、その後芙蓉総合リースで4年間にわたり営業現場から経営の中枢まで担ってきた水口顧問。
金融業界という共通の土壌にありながら、保険とリースという異なる分野で執行役員を務めてきた経験は、水口顧問に「組織をどう作り、どう導くか」というテーマを強く意識させてきました。
今回のインタビューでは、水口顧問のキャリアの歩み、組織におけるマネジメントの本質、そしてIRや海外M&Aの実務を通じて得た知見について伺いました。

これまでの歩み

リテール営業から始まったキャリア形成

水口顧問のキャリアは、損害保険ジャパンでのリテール営業からスタートしました。
「最初は現場でお客様に向き合う営業担当として、愚直に、真面目に仕事をしていました。
その中で、上司の姿勢やチームの雰囲気を“下から”見続けてきた経験は、後のマネジメントにおける 大きな糧となりました。」
その後、 課長や部長へ昇進していく過程で、「上からどうチームをつくるか」という課題に直面します。その時、下からの学びを上からの視点に生かすことでのチーム作りに 手応えを感じていました。

転機となった経験

課長職というターニングポイント

組織における課長職の役割について、水口顧問はこう語ります。
「課長職は経営層の想いを現場に伝え、若手を鼓舞しながら方向性を示す“ナビゲーター”であり“エヴァンジェリスト”のような存在。」
単なる管理者ではなく、人柄や人徳、パーソナリティまでが試されるポジション。
チャンス に成果を出せた人材だけが部長や執行役員としてさらに大きな責任を担うことができます。
一方で、最近 の若手が経験を積む前に転職してしまう風潮は、もったいないと語ります。
「マネージャー として組織を率いる経験を経ないまま転職すると、プレイヤーとしての横移動に留まってしまいます。
マネジメントを志すなら準備が必要ですし、逆にずっとプレイヤーとしての活躍を目指す のであれば、その覚悟と磨き込みが求められます。」

IRの現場で培った“伝える力”

水口顧問のキャリアを語る上で欠かせないのが、IR(投資家向け広報)での経験です。
「IRは社長のメッセージを体現して投資家に伝える仕事。自ら会社の隅々まで理解し、責任ある言葉で投資家と向き合う姿勢を示すことが重要でした。」
投資家とのミーティングを過不足 なく運営し、相手に不完全燃焼を残さないこと。
自社の宣伝ではなく、 業界全体の動向や生の現場の話を織り交ぜて投資家に伝えること。
そうした実践が評価され、「まず損保ジャパンのIRに話を聞くべき」とアナリストに推奨される存在となりました。
「投資家との関係は一朝一夕には築けません。普段から信頼を積み重ねることで、ネガティブな局面でも冷静にシナリオを語れます。
リスク管理としての広報と企業価値を守る IRの役割分担を明確にし、長期的な投資家の視点に応えることが大切です。」

海外M&Aで学んだ“人間性”の力

海外企業とのM&AやPMIを担った際にも、IRで培った経験が生きました。
「英語力以上に大事なのは、買収候補先と 腹を割って話せるかどうかというパーソナリティや人間性だと感じました。 文化の違いを認めつつ、企業の方向性をストーリーとして語る力は、IRと同じくM&Aでも役立ちました。」
ロジカルに企業の未来像を語る力と、人としての信頼を得る力。その両輪が海外ビジネスを前に進める鍵だと水口顧問は強調します。
これらの経験をもとに、この9月にはビジネス英語の入り口についてのアドバイスをまとめた電子書籍「ビジネス英語のセンス」を出版しました。

仕事への哲学

言葉と積み重ねを大切に

長年マネジメントを担う中で、水口顧問が最も大切にしてきたのは「言葉」です。
「人はほんの一言で元気になることもあれば 、逆に意気消沈することもあります。管理スパンが小さい時はもちろんのこと100人を超えた場合はなおさら、 メッセージを送る際にはメンバーが腹落ちするシンプルで力強い言葉を選んできました。」
さらに若手に伝えてきたのは「日々の小さな積み重ねの大切さ」。
与えられた仕事を100でなく100+αでこなす。長い目で見れば、日常の些細な行動の差が大きな成果の差になると説いています。

未来への展望

顧問としての役割

最後に、水口顧問は顧問としてのスタンスをこう語ります。
「企業や組織を動かすのは人間であり、いつの時代でも 変わらない真理があると思います。
ただし、自分の経験だけでは限界がある。だからこそ他人の経験を見聞きし、自分で納得できるものを取り入れる姿勢が大切です。
私は、自分が培ってきた経験・学びを“調味料”のように使っていただきたいと考えています。
クライアントの大きなストーリーに、ちょっとした風味を加える役割を果たせればと思っています。」

まとめ

リテール営業から始まり、課長・部長・執行役員という立場で、 IRや海外M&Aまで幅広い舞台で培ってきた経験。
その根底に流れるのは「言葉を大切にし、人を動かす」という哲学です。
水口顧問の歩みは、組織の中で役割を果たす一人ひとりにとって、マネジメントやリーダーシップを考える大きな示唆を与えてくれます。

この記事の監修者

清水 聖子
清水 聖子
清水 聖子
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 サービス推進グループ

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