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エンタープライズセールスとは?一般的な営業との違いや必要なスキル・ポイント

エンタープライズセールスとは、大企業を対象にした営業手法のことです。受注単価が大きく、企業全体に大きなインパクトを与える可能性があります。

一方で、関係者が多く意思決定までのプロセスも複雑です。高度なスキルや戦略が求められるため、その分やりがいや成長のチャンスも大きくなります。

本記事では、エンタープライズセールスの基本から、成功のポイント、必要なスキルまで詳しく解説します。

▼この記事でわかること

この記事の監修者

長峰 彩乃
長峰 彩乃
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。

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エンタープライズセールス(営業)とは?

エンタープライズセールスとは、大企業を対象にした営業活動のことです。主に、IT業界やSaaS業界、コンサルティング業界などで注目されています。

エンタープライズセールスの大きなメリットは、取引単価が大きく、売上や信頼の獲得につながりやすい点です。一度契約できれば他部署に導入されるケースも多いため、売上拡大の可能性が高まります。

特に、クラウドサービスや業務改善ツールなどでは、全社的な導入による生産性向上やコスト削減など、大きな効果が期待できます。

一方で、意思決定者が多く、商談期間が長期化しやすい点がデメリットです。

また、中小企業を対象としたSMB営業に限界が見えてきたことが、注目されている背景にあります。多くの企業が成長戦略の一環として、より大きな市場と高い収益性を求め、エンタープライズ市場にシフトしています。

エンタープライズセールス(営業)と一般的な営業手法との違い

エンタープライズセールスは、中小企業(SMB)向け営業などと比べて、ターゲットとなる企業数が少なくなります。商談期間(リードタイム)も半年から数年単位と長期にわたるため、その難易度は一般的に高くなります。

エンタープライズセールスと一般的な営業手法との主な違いは、下記の通りです。

項目エンタープライズセールス一般的な営業手法
営業プロセス拡散型プロセス絞り込み型プロセス
ターゲット層大企業や公的機関中小・零細企業
商談期間長い(3ヶ月~1年以上)短い~中程度(数週間~数ヶ月)
契約単価高い(数百万円~数千万円以上)低い~中程度(数万円~数百万円程度)
カスタマイズ要求高い(企業特有の要件に合わせた対応が必須)低い~中程度(標準機能でカバーできるケースが多い)
予算サイクル重要(年間予算に合わせた提案が必要)年間予算の影響は少ない(即決される場合もある)
解約率低い(解約率が低く、継続されやすい)中程度(費用対効果が低いと判断されると解約されやすい)

違い①|営業プロセス

エンタープライズセールスでは、複数の部署や役職者へ同時にアプローチする「拡散型プロセス」が主流です。

大企業では導入関係者が多岐にわたり、経営層や幹部層、責任者層など、複数の立場の方からの理解と同意が必要となります。

一方、一般的な営業は「絞り込み型プロセス」です。中小・零細企業では決裁者が限られており、認知→選定→商談→契約のシンプルな流れで進行します。

少人数の意思決定で進められるため、短期で成約に至る場合が多くなります。

つまり、関係者の多さが、営業プロセスに違いを生んでいるわけです。

違い②|ターゲット層

エンタープライズセールスのターゲットは、従業員1,000人以上、年商数百億円規模の大企業や公的機関などです。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」において、1,000人以上の事業所が大企業とされています。しかし、本記事では「常時雇用する人数が 1,000人以上の事業所等」を大企業と定義します。

一方、一般的な営業では、中小・零細企業が主なターゲットです。中小企業庁によると、中小企業の定義は資本金または従業員数に基づいており、業種によって基準が異なります。

業種分類中小企業基本法の定義
製造業その他資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
引用:中小企業・小規模企業者の定義

このように、エンタープライズセールスと一般営業では、ターゲットとする企業規模に明確な違いがあります。

違い③|商談期間

エンタープライズセールスでは、商談期間が3ヶ月〜1年以上に及ぶことが一般的です。複数部署との調整や稟議書の提出、予算承認など時間がかかる工程が多く、社内の合意に長い時間を要します。

長期化するにもかかわらず、失注リスクもあるため、継続的なフォローやキーマンの特定が重要です。

一方、一般的な営業では商談期間が数週間〜数ヶ月程度と比較的短く、スピーディに成約するケースが多くなります。

意思決定者が少なく、多くの場合は経営者や部門責任者が直接判断します。複雑な稟議プロセスもなく、スピーディな契約が可能です。

違い④|契約単価

エンタープライズセールスの契約単価は高く、1件あたり数百万円〜数千万円、場合によっては億単位にのぼる場合もあります。その理由は、大企業が導入する製品・サービスは全社展開されるケースが多く、その分規模や機能も大きくなるからです。

高単価であることは、営業にとって魅力的ですが、重要性が高まるため、より提案準備と戦略的なアプローチが求められます。

一方、一般的な営業の契約単価は数万円〜数百万円程度が主流です。中小企業の予算規模に合わせた価格設定のため、顧客数の拡大が重要な営業戦略となります。

違い⑤|カスタマイズ要求

エンタープライズセールスでは、提供する商品やサービスに対するカスタマイズ要求が高くなります。

大企業では、業界特有の運用や既存システムとの連携など、標準仕様だけでは効率的な対応ができないケースが多くあります。

例えば、ERPやCRMなどの管理システムをカスタマイズするケースです。利用人数が多いと、基本プランだと対応できない場合も少なくありません。

それに対して、一般的な営業では、基本的にパッケージ化された標準機能でニーズをカバーできます。

特別なカスタマイズは必要なく、カスタマイズ要求は低〜中程度と言えるため、導入スピードが速く、サポート負担も少なくなります。

違い⑥|予算サイクル

エンタープライズセールスでは、年間予算や中期経営計画に合わせたタイミングで提案する必要があります。

大企業の場合、予算が年度単位で決定されるため、予算確保のタイミングを逃すと導入が翌年度以降に持ち越されるケースもあります。そのため、事前に予算編成のサイクルやキーマンのスケジュールを把握することが重要です。

また、必要に応じてPoC(概念実証)やトライアルを挟み、導入に向けた足掛かりを作ることも効果的です。

一方、一般的な営業では、比較的予算決定が柔軟で、現場判断で即決する場合もあります。

中小・零細企業の予算サイクルは緊急性や必要性が認められれば、予算外でも購入判断がされることが多いと言えます。

違い⑦|解約率

エンタープライズセールスでは、一度契約が成立すると解約率が低く、継続率が高くなります。

なぜなら、社内稟議を通す際に時間がかかり、導入までに多大なコスト(時間・労力・費用)をかけているからです。他社に乗り換えるコストも高いと判断されるようになり、安易に解約されにくい傾向があります。

また、システムやツールの場合、社内の複数部門にまたがり、業務プロセスへの影響範囲が広がります。システムへの依存度が高まるため、代替手段への移行がより困難です。

一方で、一般的な営業では、費用対効果が見えにくいと判断されれば、数ヶ月で解約されるケースもあります。

顧客に価値提供をして、長期的な信頼関係を築き、高いLTV(顧客生涯価値)を実現することが不可欠です。

エンタープライズセールス(営業)を実施するメリット

ここまで紹介したエンタープライズセールスと一般的な営業手法との違いを踏まえて、エンタープライズセールスを実施するメリットを紹介します。

▼エンタープライズセールス(営業)を実施するメリット

メリット①|高単価の契約ができる場合がある

エンタープライズセールスの大きな魅力の一つが、契約単価の高さです。大企業は導入規模が大きく、1件あたり数百万円〜数千万円、場合によっては1億円以上の契約になることもあります。

例えば、全社的に利用するITシステムやコンサルティング契約などです。社員数が多いため、必要なライセンス数が増えるだけでなく、導入やサポートの規模も拡大し、プロジェクト全体の費用が高額になります。

高単価の契約が成立すれば、企業としての売上や利益に対するインパクトが大きく、営業担当者にとっても成果が評価されやすくなります。

また、受注単価が高ければ、少ない件数でも大きな売上目標を達成しやすくなる点もメリットです。

メリット②|長期的な契約になりやすい

エンタープライズセールスでは、契約が1年以上といった長期契約になる傾向があります。

なぜなら、導入コストが大きく、すぐに解約しづらいからです。

特にSaaS型サービスや基幹システム、コンサルティング契約では、年間契約や3〜5年の中長期契約が一般的です。長期契約が実現すると、収益が安定しやすく、将来の売上予測も立てやすくなります。

また、解約のリスクが下がることで、時間をかけてプロジェクトに取り組めるため、結果を出せるようになります。

その結果、顧客満足度の向上につながるため、継続されやすいです。

メリット③|複数件口を獲得できる場合がある

エンタープライズセールスは、1つの契約から関連部署やグループ会社に広がるケースが多く、「横展開」がしやすくなります。

最初は一部門で導入されたツールが、全社的に広がるケースや、グループ企業にまで採用されるケースは多々見られます。

このようなケースは、信頼関係が築けているからこそできる展開です。

複数件口を獲得できれば、同じ顧客内で継続的に実績を積めるようになり、紹介やリファレンスを通じた新規開拓にもつながります。こうした拡張性は、一般的な営業では得られにくいエンタープライズ特有の大きな魅力です。

メリット④|やりがいを感じられる

エンタープライズセールスは、商談期間が長く関係者も多いため、成約までには多くの工夫と努力が求められます。

しかし、その分、成約したときの達成感ややりがいは格別です。一つの大型案件を獲得することは、営業としての自信と成長につながります。

また、大企業の課題解決に貢献できることで、社会的な影響も大きく、自身の仕事が「価値あるもの」として実感しやすいです。

大企業と長期的なパートナーシップを構築することは、ビジネスパーソンとして大きな成長の機会と言えます。

エンタープライズセールス(営業)に求められるスキル

先ほど説明した通り、エンタープライズセールスには多くのメリットが存在します。その一方で、難易度が上がるため、さまざまなスキルが求められる営業活動でもあります。

ここでは、エンタープライズセールス(営業)に求められるスキルを4つ紹介します。

▼エンタープライズセールに求められるスキル

スキル①|情報収集・分析力

エンタープライズセールスでは、相手企業の課題や業界の動向を深く理解した上で提案する必要があるため、情報収集・分析力が欠かせません。

公式サイトやIR資料、業界ニュース、人材募集要項などの情報源を活用し、企業が直面している課題や経営方針を読み取る力が大切です。

収集した情報をもとに、自社のソリューションがどう貢献できるかを分析し、論理的に提案する必要があります。特に、意思決定者の関心事や、導入に関わるステークホルダーのニーズを把握することが、成功の鍵です。

スキル②|計画管理力

エンタープライズ営業では商談期間が長く、関係者も多いため、計画管理力が必要です。

営業プロセス全体をフェーズごとに、整理し「いつ」「誰に」「何をするか」を具体的にスケジューリングする必要があります。

関係部署との連携や上司への報告・調整も含め、タスクの優先順位を把握して動けることが重要です。計画管理力があることで、複雑な商談でも見通しを立てやすくなり、失注リスクの回避や、顧客からの信頼獲得にもつながります。

スキル③|相手目線の提案力

エンタープライズセールスで成果を出すには、顧客の視点に立った相手目線の提案力が不可欠です。

単なる製品紹介ではなく「相手が何に困っていて、どう解決したいのか」を深く理解し、ニーズに合った提案が求められます。特に、顧客の業務プロセスや社内事情に沿った具体的な活用イメージを提示できると効果的です。

相手目線の提案力は、丁寧なヒアリングと業界理解を通じて養われます。「売りたいもの」ではなく「必要とされるもの」を見極め、納得感のある提案をすることが信頼構築につながります。

スキル④|交渉力

エンタープライズセールスにおいて、交渉力は最も重要なスキルの一つです。

特に価格交渉や契約条件の調整では、顧客の要求をただ受け入れるのではなく、自社の利益を守りつつ、Win-Winの関係を築く必要があります。

大企業の担当者は交渉に長けており、厳しい条件提示をしてくることも多いため、事前準備と戦略が必要です。価値を正しく伝え、価格の正当性を納得してもらう力が不可欠です。

また、言葉の選び方やタイミングも交渉力には欠かせません。経験を積みながら、どんな言葉選びが刺さりやすいのか、またどのタイミングで交渉をするのかを見極めていきましょう。

エンタープライズセールス(営業)を実施する際のポイント

エンタープライズセールスを実施する際のポイントを4つ紹介します。

▼エンタープライズセールス(営業)を実施する際のポイント

エンタープライズセールスを行う際の確認事項として目を通しておきましょう。

ポイント①|狙う企業を選定する

エンタープライズセールスで成果を出すには、狙う企業の選定が重要です。

対象とする企業が自社サービスと親和性があるか、導入予算や決裁権限を持つ部門があるかを事前に調査します。

業界動向や企業の課題、成長フェーズを見極め、受注確度の高い企業を優先してアプローチしましょう。

SFAやCRMツールを活用すると、企業選定や情報収集がしやすくなり、キーマンの特定や課題の仮説を立てる際に便利です。

企業を狙いすぎて案件が偏るとリスクが高くなるため、業種・業界にバランスを持たせながら分析しましょう。

ポイント②|企業内で人脈を広げる

大企業との商談は、1人の担当者だけでは完結しません。部署ごとに意見や利害が異なるため、企業内の人脈を広げる必要があります。

具体的には、紹介を通じた接点の拡大、セミナーやイベントでの接触、LinkedInやMetaなどのビジネスSNSの活用が有効です。特に、影響力のあるキーマンや決裁者、現場担当者との関係構築を意識しましょう。

ただし、関係者が多くなるほど適切に情報を管理して、対応に一貫性を持たせることが大切です。誰が何を重視しているかを把握し、それぞれに合わせた対応を取るように心がけましょう。

ポイント③|関係性を構築していく

エンタープライズセールスでは、長期的な信頼関係の構築が成果に直結します。導入までに時間がかかるため、まずは顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、信頼関係を構築する必要があります

信頼構築のためには、提案の質はもちろん、レスポンスの早さ、相手に合わせた対応、課題への共感が欠かせません。

また、短期的な成果を求めすぎると関係が崩れる恐れがあるため、焦らず段階的に距離を縮めましょう。相手にとって価値ある情報を提供し続けることが、長期的な関係構築の鍵と言えます。

ポイント④|企業の全体像を把握する

企業の全体像を正確に把握することは、的確な提案をする上で非常に重要です。全体像をつかむことで、「どこに」「どんな価値を」届けるべきかが明確になり、商談の進行もスムーズになります。

具体的には、企業のWebサイトやIR資料、業界ニュース、人事情報、導入事例などを活用しながら情報を整理しましょう。

組織構造や各部門の役割、決裁フローなど、広い視点から顧客を理解することで、より相手に刺さる提案ができるようになります。

一方的な思い込みは避け、客観的な情報を基に理解を深めていきましょう。

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まとめ:エンタープライズセールス(営業)はハードルは高いが実施する価値はある

エンタープライズセールスは、大企業を対象にした営業手法のことを指します。ターゲットが少なく、リードタイムも長いことから一般的な営業手法よりも難易度が高まる傾向があります。

一方で、高単価になりやすく、長期的な契約になりやすいなどのメリットがあるのも事実です。

そのため、エンタープライズセールスは、難易度が高いが故に、メリットも多いため、実施する価値のある営業活動と言えます。

本記事で紹介した「求められるスキル」や「実施する際のポイント」を参考に、ぜひエンタープライズセールスを実施しましょう。

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累計で5,000件以上のプロジェクト実績があります。キーマンとの商談数を増やしたい方や新規開拓に力を入れたい方は、下記よりお問い合わせください。

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この記事の監修者

長峰 彩乃
長峰 彩乃
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 部長
株式会社エスプール新卒入社。主幹事業である人材派遣事業を経て、ヒューマンキャピタル事業部へ配属。スタートアップ向け営業支援サービスの営業リーダー就任後、個人売上高3億円を達成。人脈を活用した大手企業開拓手法「ニアバウンド」を発信。

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