エンタープライズ企業の定義とは?基準やSMBとの違いについて解説
取引相手として大きな可能性を秘めながらも、特有の難しさがあるエンタープライズ企業。
「大企業」という言葉では語り尽くせない特徴やアプローチ方法を、知ることはBtoBにおいて大きな武器になります。
本記事では、エンタープライズ企業の定義や基準をまとめた上で、効果的にアプローチするための具体的な戦略と手順を解説します。
▼この記事でわかること
- エンタープライズ企業の定義と基準
- エンタープライズ企業とSMBとの違い
- エンタープライズ企業の主な特徴3つ
- エンタープライズ企業へのマーケティング手法
- エンタープライズ企業へのアプローチで考えるべきマーケティング・営業理論
- エンタープライズ企業へのマーケティング・営業の攻略手順
大企業の開拓を目指すご担当者さまから、「決裁者にたどり着けない」「1年かけても成果が出ない」といったお悩みを伺うケースが増えています。
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エンタープライズ企業の定義と基準
企業規模の分類において、中小企業とは一線を画す「エンタープライズ企業」。まず、企業の定義や基準について見ていきましょう。
エンタープライズ企業とは?
エンタープライズ企業とは、一般的に大規模な企業や組織のことです。官公庁といった公共機関もエンタープライズと同様に扱われるケースがあり、まとめて「エンタープライズ市場」と呼びます。
多国籍で複数事業を展開している場合が多く、大規模なITインフラやシステムを保有しています。意思決定フローが複数部門にまたがるため、じっくりと時間をかけてアプローチしていくことが重要です。
エンタープライズ(Enterprise)は「冒険」「企業」「事業」といった意味であり、ビジネスやIT分野で使われるのが一般的です。
大規模な取引や長期的な契約が特徴的で、爆発的な利益向上を狙える市場として注目されています。
エンタープライズ企業の従業員や売上の基準
エンタープライズ企業の基準は、一般的に従業員数1,000人以上・売上数百億円〜数兆円です。
特に、大手エンタープライズ企業では年間売上が1兆円を超える企業も珍しくなく、国や地域の経済に大きな影響力があります。
これらの数値基準は業界や国によって若干の差異はあるものの、エンタープライズ企業を定義する際の重要な指標です。
エンタープライズ企業とSMBとの違い
エンタープライズ企業とSMB(中小企業)との違いを、下記の表にまとめました。
項目 | 企業規模とリソース | ビジネスの構造 | マーケティング・営業戦略 |
エンタープライズ企業 | ・従業員数1,000人以上 ・ 年間売上高は数百億円〜数兆円 | ・多角化された事業ポートフォリオ | ・幅広い客層にアプローチする手法 |
SMB(中小企業) | ・従業員数300名以下または資本金3億円以下 | ・特定分野に集中した事業構造 | ・特定の業種や規模を攻める手法 |
詳細をそれぞれ見ていきましょう。
観点①|企業規模とリソース
エンタープライズ企業は通常、従業員数1,000人以上、年間売上高は数百億円から数兆円に達する企業です。トヨタ自動車や日立製作所などの巨大企業が典型例として挙げられます。
従業員数や年間売上高が一定以上の大企業や、官庁や地方公共団体などの比較的規模の大きな組織もエンタープライズの範疇に含まれます。
一方、SMB(Small and Medium Business)は、エンタープライズより小規模な企業です。
日本では中小企業基本法によって、下記の業種ごとに定義されています。
- 製造業では従業員数300名以下または資本金3億円以下
- 卸売業では従業員数100名以下または資本金1億円以下
- 小売業では従業員数50名以下または資本金5,000万円以下
- サービス業では従業員数100名以下または資本金5,000万円以下
年間売上高で見ると、一般的に数億円から数十億円程度の規模となります。
観点②|ビジネスの構造
エンタープライズ企業の事業構造は、多角化されていることが多いです。例えば、ソニーグループは家電製品から音楽・映画制作、ゲーム、金融サービスまで幅広い事業を展開しています。
従業員も多く、複数の事業部や子会社を持ち、組織階層が多層化されています。意思決定プロセスは、担当者→課長→部長→役員といった具合に承認が必要で、稟議や承認にかかる期間は、数ヶ月〜半年ほどです。
一方、SMBの事業構造は特定分野に集中しているケースが多いと言えます。従業員が少なく、組織構造がフラットであるケースが多く、意思決定が比較的早くなります。
経営者の判断が直接事業に反映されやすく、市場の変化に素早く適応できる点が強みです。
観点③|マーケティング・営業戦略の立て方
エンタープライズ企業は、幅広い顧客層にアプローチするため、テレビCMや全国規模の広告キャンペーンを展開します。業種や規模ごとに異なる戦略を組み合わせて、ニーズに合わせた提案を実施します。
多角的なマーケティング活動をするために、社内に専門部署を設置し、大手広告代理店と契約するのが一般的です。
一方、SMBは業種や規模を絞って集中して攻める方法を取ります。限られた予算で費用対効果の高いマーケティングを重視します。
経営者や少数の営業担当者が顧客と直接的な関係を構築し、一人ひとりにあったサービスを提供する方法です。その結果、他社と差別化を図れるようになります。
エンタープライズ企業の主な特徴3つ
エンタープライズ企業には、主に下記の特徴があります。
▼エンタープライズ企業の特徴
- 特徴①|大規模な組織と資金力を保有している
- 特徴②|一つの意思決定に多くの方が関わる
- 特徴③|意思決定までのリードタイムが長い
重複する部分もありますが、それぞれ確認しましょう。
特徴①|大規模な組織と資金力を保有している
エンタープライズ企業の主な特徴は、その組織規模と資金力です。
従業員数が1,000名を超え、多くの場合は数千人から数万人規模の人員を抱えています。この大規模な組織体制により、さまざまな専門分野のプロフェッショナルを社内に確保し、複雑な事業運営が可能です。
また、資金力においても、年間数百億円から数千億円規模の投資ができるのは大きな強みです。この豊富な資金力は、長期的な研究開発、大規模なM&A、グローバル展開などの事業戦略を実行する基盤です。
例えば、大手の通信会社では、AIの開発費用に15兆円規模の投資を計画している事例もあります。
特徴②|一つの意思決定に多くの方が関わる
エンタープライズ企業では、重要な意思決定に複数の役職者が関わります。例えば、新規事業の立ち上げを検討する場合、担当者だけでなく課長、部長、本部長、役員といった複数の階層での審査と承認が必要です。
また、他部署も関わる場合もあり、一つの企画にマーケティングや技術開発などの部署の検証とサインオフが求められます。大手企業の新サービス開発では、10以上の部署が関与するケースも珍しくありません。
この多角的なプロセスにより、リスク評価が徹底されますが、意思決定は複雑になりがちです。
特徴③|意思決定までのリードタイムが長い
エンタープライズ企業では、意思決定に至るまでの時間(リードタイム)が長くなりがちです。
先ほどお伝えした「多くの関係者が関わる」特徴と密接に関連しています。一般的な決裁プロセスでは、担当者が起案し、課長、部長、本部長、役員といった具合に、複数の階層で承認が必要です。
大規模なプロジェクトや投資案件では、この承認プロセスに数ヶ月から半年以上かかる場合があります。
この長いリードタイムは、慎重な意思決定を可能にする一方で、市場環境の急速な変化に対応する際の障害となる場合があります。
エンタープライズ企業へのマーケティング手法
エンタープライズ企業に対するマーケティングは、その組織規模や意思決定プロセスの特性を理解した上で戦略的に展開することが大切です。
ここでは、エンタープライズ企業に効果的な4つのマーケティング手法を紹介します。
▼エンタープライズ企業へのマーケティング手法
- 手法①|アカウントベースドマーケティング(ABM)
- 手法②|コンテンツマーケティング
- 手法③|セミナー・イベントマーケティング
- 手法④|パートナーシップマーケティング
手法①|アカウントベースドマーケティング(ABM)
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、特定の優良企業にフォーカスしたBtoBマーケティング手法です。ターゲット企業を設定し、その企業特有の課題やニーズを解決できる価値の高いコンテンツやメッセージを提供します。
オフライン・オンライン問わずに、アプローチをかけます。
この手法の主なメリットは、ターゲットを絞ることで、無駄な広告費を削減できる点です。ターゲット企業に有益な情報を継続的に提供し、長期的な信頼関係をつくれるように努めます。
一方で、CRMやSFAなどを活用し、企業ごとにカスタマイズされた施策を考えなければなりません。結果が出るまでには時間やリソースがかかるため、短期的な成果を求める企業には向いていない可能性があります。
手法②|コンテンツマーケティング
自社で保有するメディアやSNS、広告媒体などで、有益なコンテンツを発信して顧客のリードを獲得する施策です。
質の高いコンテンツは検索エンジンで上位表示されやすく、ターゲットが行動しやすくなります。長期的に蓄積されたコンテンツは持続的な資産となり、継続的なリード獲得につながります。
エンタープライズ企業向けに、業界トレンドの分析や課題解決のためのナレッジ、自社オリジナルの調査データなどが特に効果的です。これらの専門的なコンテンツを通じて信頼性をアピールすることで、ブランド価値の向上にもつながります。
一方で、コンテンツマーケティングは効果が表れるまでに時間がかかります。近年はコンテンツの差別化が難しくなってきており、競合他社との明確な差別化ポイントを見つけることが課題です。
手法③|セミナー・イベントマーケティング
セミナーやイベントを活用して、エンタープライズ企業の意思決定者と直接対話する機会をつくるマーケティング手法です。
オンラインとオフラインの両方の形式で開催可能で、リアルタイムで直接コミュニケーションを取ることもできます。
エンタープライズ企業の関心を引くテーマを設定し、業界の最新動向や成功事例、トレンドなどの価値ある情報を提供します。関心度の高い見込み顧客を集客するために、具体的なソリューションを提案できると効果的です。
セミナーやイベントに集める手間はかかりますが、参加者の反応から具体的なニーズを把握できる点は大きなメリットです。
手法④|パートナーシップマーケティング
パートナーシップマーケティングは、他社と協力してエンタープライズ市場にアプローチする手法です。既に顧客基盤を持つパートナー企業と連携することで、自社単独では難しい大企業とつながりやすくなります。
代表的な形態としては、代理店や紹介パートナー、資本提携などです。例えば、業界特化型のコンサルティング会社と協業して専門領域の顧客にアプローチする方法があります。
この手法のメリットは、既存の信頼関係を活用できる点です。パートナー企業が持つ顧客との信頼関係を通じて、自社商品・サービスの信頼性も高まります。
エンタープライズ市場では、このような協業モデルが特に効果的であり、単独のアプローチよりもスピード感があります。
エンタープライズ企業へのアプローチで考えるべきマーケティング・営業理論
エンタープライズ企業に向けて、効果的にアプローチできるマーケティング・営業理論は下記の通りです。
▼マーケティング・営業理論
- 理論①|ニアバウンド
- 理論②|アウトバウンド
- 理論③|インバウンド
理論①|ニアバウンド
ニアバウンドは、既存の顧客や関係性のある見込み顧客との絆を深め、新たな商談や紹介を生み出すアプローチです。
ゼロからの新規開拓ではなく、既にある関係性をベースに展開する点が特徴です。エンタープライズ企業では、一度信頼関係を構築できると組織内の横展開ができるため、拡大がしやすくなります。
既に信頼関係が構築されている相手にアプローチできるため、新規開拓よりも成約率が高く、また営業コストも低く抑えられます。
具体的な施策は、導入事例やユーザー会の開催、定期的なセミナー実施などです。エンタープライズ企業では、組織内の横のつながりも重要なため、部門間の連携を促進する取り組みも効果的です。
理論②|アウトバウンド
アウトバウンドは、企業側から積極的に見込み顧客にアプローチする方法です。エンタープライズ企業向けのアウトバウンド手法としては、テレアポやダイレクトメール(DM)、展示会出展、セミナー開催などが代表的と言えます。
特に効果的なのは、ターゲット企業の特性や課題に合わせたメッセージを発信することが大切です。初期段階における信頼構築が課題となるため、価値ある情報提供と共に進める必要があります。
アウトバウンドの強みは、自社のペースでアプローチできる点と、即時的な反応を得られる点にあります。
理論③|インバウンド
インバウンドは、自社コンテンツを通じて顧客の方から興味を持ってもらう方法です。潜在顧客が自ら情報を求めて行動し、その流れで自社にたどり着くように設計します。
先に解説したコンテンツマーケティングは、インバウンドの中核を担う手法で、SEO対策やSNS活用と組み合わせることで効果的です。
エンタープライズ企業向けに、SEO記事や導入事例、ホワイトペーパーを作成し、問い合わせまでの動線を整備します。
インバウンドの最大の利点は、顧客自身が関心を持って接触してくるため、商談に発展しやすい点です。コンテンツマーケティングで構築した専門性と信頼性を基盤に、長期的な関係構築につながります。
成果が出るまでに時間がかかりますが、メディアが資産化する場合があります。
エンタープライズ企業へのマーケティング・営業の攻略手順
最後に、エンタープライズ企業に有効なマーケティング・営業の攻略手順を解説します。
▼マーケティング・営業の攻略手順
- STEP①|ABMに基づいたターゲティング
- STEP②|新規開拓に向けたアプローチの開始
- STEP③|バイヤー相関図等を用いた決裁者の特定
- STEP④|提案と交渉
- STEP⑤|契約後のLTV最大化
取引規模が大きく複雑な意思決定プロセスを持つエンタープライズ企業に、ABMの考え方は特に有効です。詳しい手順を見ていきましょう。
STEP①|ABMに基づいたターゲティング
アカウントベースドマーケティング(ABM)の考え方に基づき、まずは自社商品やサービスに最適なエンタープライズ企業を選定します。業界特性や企業規模、現在抱えている課題などを総合的に分析し、優先順位の高いターゲット企業をリストアップします。
各ターゲット企業の事業環境や課題、組織構造などについて深く理解することが重要です。企業のウェブサイトや公開情報、業界ニュースなどから情報を収集し、ターゲット企業ごとにアプローチ計画を立てましょう。
特に重要なのは、単なる企業名のリストではなく、具体的な価値提案ができる企業を絞り込むことです。
この段階で戦略的にターゲティングすることで、後の営業活動の効率と成功率が大きく向上します。
STEP②|新規開拓に向けたアプローチの開始
ターゲット企業が特定できたら、初期接触を開始します。エンタープライズ企業へのアプローチでは、単一でなく、複数の接点を組み合わせた統合的なアプローチが効果的です。
具体的には、
- 業界イベントや有益なコンテンツの提供
- ダイレクトメール
- SNSなど
を組み合わせます。例えば、業界カンファレンスで初回接触した後、興味のある専門的なホワイトペーパーをプレゼントするのは、有効な方法です。
この段階では、即時の成約ではなく、信頼関係の構築を意識します。信頼関係をつくるには、一般的な宣伝ではなく、ターゲット企業特有の課題解決に焦点を当てた提案を心がける必要があります。
STEP③|バイヤー相関図等を用いた決裁者の特定
エンタープライズ企業では、複数の関係者が意思決定に関わります。この段階では、バイヤー相関図を作成し、主要な意思決定者や影響力を持つ関係者などを特定することが重要です。
最終決裁者だけでなく、意思決定に影響を与えるさまざまな立場の人物を把握すると、各関係者の役割や相互の影響関係が明確になります。
その結果、誰にどのようなメッセージを伝えるべきかの優先順位が定まり、効率的なアプローチが可能です。
経営層には投資対効果やビジネス価値を、現場責任者には業務効率化の側面を伝えることで、提案が進みやすくなります。
STEP④|提案と交渉
エンタープライズ企業との商談では、標準的な提案ではなく、クライアント固有の課題に対応した提案が求められます。即決されることはないため、稟議を通しやすいように準備することが大切です。
提案書やプレゼンテーションは、クライアント企業の優先事項や業界用語に合わせて調整することをおすすめします。提案書に数値目標や投資対効果(ROI)の見積もり、導入後のサポート体制、成功事例を含めると効果的です。
柔軟に対応できるよう、社内の関連部署と事前に調整しておきましょう。
STEP⑤|契約後のLTV最大化
エンタープライズ企業との契約は、ゴールでなく新たなスタート地点です。契約後は顧客生涯価値(LTV)を最大化するため、継続的な関係強化と価値提供に注力します。
発注者のニーズを的確に掴み、期待以上の成果を届けることで信頼関係を強化します。定期的なミーティングを設定することで、追加ニーズや課題を早期に把握しましょう。
既存顧客との関係を深めることで、クロスセルやアップセルの機会が生まれるだけでなく、紹介が生まれる可能性が高まります。
まとめ
エンタープライズ企業(エンプラ企業)は、一般的に従業員数1,000人以上・売上数百億円〜数兆円規模の会社です。
アプローチするには、一般的な営業活動とは異なる戦略と粘り強さが求められます。本記事で解説したように、エンプラ企業の複雑な意思決定プロセスや組織構造を理解し、適切なマーケティング手法を組み合わせることが重要です。
大型案件を獲得するには、戦略を持って臨むようにしましょう。時間とリソースはかかりますが、成功すれば長期的な安定収益につながります。
大企業の開拓を目指すご担当者さまから、「決裁者にたどり着けない」「1年かけても成果が出ない」といったお悩みを伺うケースが増えています。
こうした大企業開拓における壁を突破するための新しいアプローチとして、「ニアバウンド」を活用したサービス『タクウィルセールス』があります。
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