COLUMNタクウィルコラム

森永製菓株式会社 元上席執行役員が語る 課題解決にとどまらず、企業・組織の価値や成長を描く考え方とは

森永製菓株式会社で40年以上、多彩な部門を経験し、情報・広告・経理・経営企画を横断してきた杉浦顧問。

経営企画部門で経営の本質を学び、広報・広告で企業価値を可視化・発信してきた経験を礎に、現在は顧問として企業の課題理解と顧客起点のバリューチェーンマネジメントを通じ、現場で成果につながる実践的支援を行っています。

今回は、キャリアの歩みや転機となった経験、顧問としての取り組み、そして仕事への哲学について伺いました。

これまでの歩み

“正確なデータ”と“伝える力”で、森永製菓の成長を支え続ける

大学卒業後は、森永製菓株式会社に入社。以来40年以上にわたり同社で多彩な部門を経験してきた杉浦顧問。

キャリアの始まりは情報部門。大型コンピュータが主流だった時代に、業務システムの開発・運用を担当しました。社内の販売・生産・在庫といった基幹業務を支える仕組みづくりに没頭し、「正確なデータが経営を動かす」という実感を得たと言います。

その後、広告部門に異動。スポンサー枠のバイイングやキャンペーン企画を担当しました。バブル期特有の勢いの中で、企業ブランドをどう世の中に伝えるかというマーケティングの面白さを肌で感じました。

経営企画部門で高度成長時代のマスマーケティングから成熟社会の顧客起点バリューチェーンマーケティングへの経営改革経験を経て、広告と広報を統合したコーポレートコミュニケーション部門の責任者に就任。

経営戦略と広報・広告活動を一体化させ、IR(投資家向け広報)を強化しました。

株主・投資家との対話を重ね、透明性の高い経営情報を発信することで、株価・時価総額をおよそ5倍に引き上げる成果を実現。
「企業の本当の価値は“何をしているか=What”だけでなく、“なぜそれをするのか=Why”を伝えることから生まれる」と強調します。

転機となった経験

未知の経理部門へ異動――「数字」で経営を捉える力を習得

経理部門に異動したことが、最大の転機だったと振り返ります。
「会計はまったくの未経験でしたが、これまでのキャリアを変えたのはこの挑戦でした」と杉浦顧問は語ります。

当時の日本はバブル崩壊後の混乱期。会社も経営改革を迫られ、制度設計や予算統制の仕組みづくりに奔走しました。

新しいルールを導入するたびに社内の反発もありましたが、「経営の透明性を高め、確度の高い経営を行うことが、社員や顧客の信頼につながる」と信じ、粘り強く推進しました。

「マーケティングでも経営でも、“お金の流れ”を知らなければ本質は見えません。だからこそ、若い社員にも会計を学ぶよう伝えていました。」この経験が、その後の経営企画やIRの礎になったと言います。

顧問としての取り組み

次世代マーケティングリーダーを育てる杉浦顧問の挑戦

企業が持続的に成長していくためには、理論を理解するだけでなく、それを現場で実践し、成果へと結びつける力が欠かせません。

杉浦顧問が力を注いでいるのが、世界に通用するマーケティングリーダーの育成を目的とした「価値創造開発教育」研修です。

座学で学ぶ理論を実務へ応用する力は属人化しやすく、日々のマーケティング活動に十分に活かされていないケースも少なくありません。

そこで杉浦顧問は、経営企画・広告・情報など幅広い分野で培った経験をもとに、受講者一人ひとりが自社の課題を自らの手で構造化し、持続的な解決に導く「経験学習」を講師として支援しています。

この研修を通じて、理論と実践を架け橋とする人材、すなわち「次世代のマーケティングリーダー」の育成を力強く後押ししています。

仕事への哲学

“人”を中心に置く経営――倫理・自立・そして心豊かな生き方

森永製菓株式会社を退社後は、森永エンゼル財団に所属。そこで触れた哲学や倫理の学びを通じて、杉浦顧問の中には「経済だけでなく、人間や社会の豊かさを考える」という視点が根づいています。

「人は“自分だけが得をする”と思って動くと、いずれ自分を苦しめる。
それは企業も同じであるため、社会や取引先と共に成長してこそ真の持続性が生まれます。」

こうした信念の背景には、立場ある者の責任を示す人生観「ノブレス・オブリージュ」があります。

そして、すべての社会人に通じる理念として、「自立貢献」――自らの足で立ち、他者に役立つ生き方――を大切にしてきました。経営においても人生においても、理性と倫理・感性、そして自立と貢献のバランスを大切にする。
それが杉浦顧問の哲学です。

まとめ

森永製菓での40年を通じ、情報・経営企画・広告・広報・IRを横断して企業経営を支えてきた杉浦顧問。

数字で語り、言葉で伝える力を磨きながら、企業の本質的価値を見抜いてきました。
現在は顧問として、課題理解と価値創造をつなぐ提案をしています。

今後も現場に寄り添いながら、実践からの学びを重ね、企業と社会の持続的成長を後押しする支援を続けていきます。

この記事の監修者

清水 聖子
清水 聖子
清水 聖子
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 サービス推進グループ

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